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対処すべき課題

当社グループは、「西武グループ長期戦略」に基づき、様々な事業・サービスを組み合わせて提供できる領域・付加価値を拡大し、あらゆる場面でお客さまの生活を応援していく企業グループとなることで、持続的かつ力強い成長を目指しております。

そのようななか、2019年5月14日に、3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2019~2021年度)」(以下「現行計画」という。)を策定し、「新たな視点でスピード感を持って、イノベーションに挑戦」と「長期的視点での成長基盤の確立」を基本方針に、「新規事業分野の創出」と「既存事業領域の強化」を重点課題として取り組んでまいりました。この中期経営計画は、「2017年度以降の取り組みを確実なものとし新たな経営のフェーズや経営計画へつなぐ計画」という位置づけであり、バリューアップ投資の果実収穫に加え、将来の事業拡大に向け、財務体質の強化や新たな事業分野・領域への拡大加速に取り組んでまいりました。
また、合わせて、2020年代という新たな時代を見据え、2020年度を初年度とする3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2020~2022年度)」(以下「新中期経営計画」という。)につきましても、策定を進めておりました。
しかしながら、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大により、景気は足もとで大幅に下押しされており、先行きについても厳しい状況が続くと見込まれております。事業環境が想定と大きく変わってきていることから、計画内容を再検証する必要があると考えたため、新中期経営計画の策定を見送るとともに、現行計画を取り下げることとしました。
当社グループでは、2020年4月7日に発出された緊急事態宣言に伴い、鉄道業、バス業などにおいて外出自粛により利用客が減少したほか、一部を除きホテルやゴルフ場、レジャー施設において臨時休業をおこないました。その後の緊急事態宣言の解除に伴い、順次営業を再開しており、利用客も回復しつつありますが、本格的な回復時期が不透明であることを踏まえると、当面はこの難局を乗り越えることに注力すべきだと考えており、グループ全体の事業上の重要事項として下記2項目4ポイントを推進いたします。

(1)事態収束までは必要最低限の事業運営に特化

事態収束までは必要最低限の事業運営に特化することを最優先とし、必要運転資金の確保に努めるとともに、お客さまや社会に対し「ほほえみと元気」をご提供できるよう事業運営をおこないます。

①必要運転資金の確保

足もとで業績が下押しされており回復時期が不透明な状況下においては、事態が長引くことも想定し、資金調達やキャッシュ流出抑制により、必要運転資金を確保いたします。
現預金と合わせ、本年4月に主力取引金融機関から330億円の借入を行った他、コミットメントラインを追加で設定し、総額600億円から総額最大1,500億円へ拡大しており、今後も必要に応じて適宜新規借入等の資金調達をおこなうことで、手元流動性の充実を図ります。
また、不要不急のコストや設備投資を事態収束まで先送りするとともに、人件費などの固定費を圧縮し収益構造改善に努めることにより、キャッシュ流出を抑制し、必要運転資金を確保いたします。

②コロナ禍における西武グループ事業運営方針

経営理念である「地域・社会の発展、環境の保全に貢献し、安全で快適なサービスを提供すること。また、お客さまの新たなる感動の創造に誇りと責任を持って挑戦すること」の原点に立ち返り、以下の3点を徹底することで、このような事態のなかでも、お客さま、社会に対して「ほほえみと元気」をご提供できるよう事業運営をおこないます。
【1】事業運営にあたっては、お客さまならびに従業員の安全・安心を最優先に確保する。
【2】変化するニーズをお客さま目線で適時的確に把握し、スピード感をもってサービス展開をおこなう。
【3】上記を通じ、積極的に利益を追求する。
緊急事態宣言下においては、一部の施設における臨時休業、西武ライオンズや横浜アリーナでのスポーツ・イベント開催も一時中断しておりましたが、鉄道、バス、タクシーといった日常を支えるインフラ機能については、消毒・換気など感染予防策を講じながら、営業を継続してまいりました。また、取引先との間においても、債権回収時期の調整や賃貸施設における賃料減免を検討することなどにより、一体となってこの事態を乗り越えるべく、対応してまいりました。
緊急事態宣言解除後・収束期においては、引き続き感染予防策を徹底しながらも、順次営業を再開し、既存事業領域から優先して収益の回復・拡大を図ります。そのなかでは、ソーシャルディスタンスを意識し、人々の自粛疲れを払しょくできるようなサービス展開にスピード感を持って取り組むとともに、取引先とも協働し、新たなビジネスチャンスも模索してまいります。
現時点では、2021年3月期の連結業績予想および配当予想を「未定」としている状況ではありますが、状況変化を踏まえ適時的確な情報開示をおこなうとともに、財務体質の早期の回復、改善に取り組んでまいります。従業員に対しては、「安全・安心」「お客さま目線」に加え、「“きれいな利益”を生み出す」ことを徹底することで、グループ一丸となってこの事態を乗り越えてまいります。
セグメントごとの事業運営方針は以下の通りであります。なお、2020年4月より、下記4点をポイントに、報告セグメントを変更しております。

●既存の西武ライオンズに、都市交通・沿線事業に含んでいた横浜アリーナを加え、今後成長させる分野としてスポーツ事業を新設。 スポーツについて需要が高まるなか、当社グループのメットライフドームや横浜アリーナ、ゴルフ場、スキー場、といった豊富な資産、また、球団運営のノウハウなどは強みだととらえており、今後成長させてまいります。足もとでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、国内外でスポーツイベントが中止となっておりますが、収束期においては需要はさらに見込まれると想定しております。今後、都市交通・沿線事業のスポーツ業(フィットネスなど)やホテル・レジャー事業のスポーツ業(ゴルフ場、スキー場等)との統合を見据え、グループ内連携を強化するとともに新たなビジネスモデル構築に取り組んでまいります。 ●ハワイ事業について、ホテルのグローバル展開加速のため、ホテル・レジャー事業へ集約。
●不動産事業に含んでいた駅ナカコンビニ「トモニー」および駅チカ保育所「Nicot」について、生活関連事業強化の観点から、都市交通・沿線事業へ移管。
●ホテル・レジャー事業に含んでいた株式会社西武SCCAT(ビルメンテナンス、警備会社)について、自社領域拡大のため、不動産事業へ移管。

(都市交通・沿線事業)
緊急事態宣言下においては、沿線レジャー施設などは臨時休業としておりましたが、鉄道業、バス業、タクシーなどに経営資源を集中させ、感染予防策を徹底しながら社会インフラとしての役割を果たすとともに、沿線レジャー施設から積極的な情報展開をおこなうなど、ステイホームが楽しくなるようなサービス展開に取り組んでまいりました。緊急事態宣言解除後・収束期においては、沿線レジャー施設など、ソーシャルディスタンスを意識したサービス展開を検討のうえ、順次営業再開することで、早期に収益の回復・拡大を図ります。 (ホテル・レジャー事業)緊急事態宣言下においては、ホテル、ゴルフ場、スキー場やレジャー施設を臨時休業としておりましたが、保有資産を活用し、たとえば軽症者の受入を図るなど、社会全体の感染予防に貢献するとともに、レジャー施設などから積極的な情報展開をおこなうなど、ステイホームが楽しくなるようなサービス展開に取り組んでまいりました。緊急事態宣言解除後・収束期においては、「安全・安心(三密回避、ソーシャルディスタンス)を意識したサービススタンダード」(Prince Safety Commitment)を確立して順次営業を再開するとともに、新たに開業を予定しているホテルについてもニーズを見定めながら開業を目指し、早期に収益の回復・拡大を図ります。 (不動産事業)緊急事態宣言下においては、一部の商業施設は臨時休業としておりましたが、オフィス、レジデンス、また、生活用品販売などの商業施設営業は感染予防策を講じながら継続することにより、生活応援企業としての役割を果たしてまいりました。緊急事態宣言解除後・収束期においては、商業施設などにおいて、ソーシャルディスタンスを意識したサービス展開を検討のうえ順次営業再開することなどにより、早期に収益の回復・拡大を図ります。また、都心エリア(高輪・品川エリア、芝公園エリアなど)の大規模開発については、この事態収束後も見据えながら、引き続き検討を継続してまいります。 (建設事業・その他)建設事業につきましては、緊急事態宣言下においても工事施工を感染予防策を徹底しながら継続するとともに、緊急事態宣言解除後・収束期においても、グループ外工事の受注強化に加え、原価管理、コストコントロールの徹底、i-ConstructionやICT技術の活用により、生産性の向上ならびに利益率の改善に努めることで、グループへの収益貢献を果たしてまいります。
そのほか、新たに設立したスポーツ事業につきましては、緊急事態宣言下においては、プロ野球の開幕延期、またイベント中止などを余儀なくされておりましたが、積極的な情報発信をおこなうことで、ステイホームが楽しくなるようなサービス展開に取り組んでまいりました。緊急事態宣言解除後・収束期においては、ソーシャルディスタンスを意識しながら、自粛疲れを払しょくできるようなコンテンツを早期に提供してまいります。また、伊豆箱根事業及び近江事業につきましては、都市交通・沿線事業と概ね同様の方針であります。

(2)①②を優先したうえで事態収束後に向けた取り組みを推進

事態収束までは①②の必要最低限の事業運営に特化するという観点を最優先としながらも、新中期経営計画において想定していた重点施策を可能な限り推進するとともに、この事態収束後の人々の価値観の変化を見据えた構造改革に取り組んでまいります。

③新中期経営計画で想定していた重点施策

新中期経営計画で想定していた下記5点の重点施策については、事態収束までは必要最低限の事業運営に特化するという観点を最優先としながらも、可能な限り推進してまいります。

ⅰ 攻めのDX・マーケティング戦略 グループの複数のサービスをご利用いただくお客さまを増やすため、デジタル活用によるマーケティング機能の強化に取り組んでおります。2020年度は、グループ共通会員組織である「SEIBU PRINCE CLUB」を中心に、会員組織の統合・サービス連携を推進するとともに、キャッシュレスサービス基盤やグループマーケティング基盤の構築を推進いたします。 ⅱ 守りのDXダイバーシティや働き方改革実現に向け、デジタルを活用した業務の自動化、標準化、高度化に取り組んでおります。2020年度は、管理系業務等のグループ共通システム化やRPA、AI活用により業務の見える化、見直しを図るとともに、ペーパーレス化、テレワーク制度の導入範囲拡張などグループ全体で働き方改革をスピード感を持って進めることにより、時間外労働の削減にもつなげてまいります。 ⅲ サステナビリティアクション グループの経営理念である「グループビジョン」に基づき、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを「サステナビリティアクション」として積極的に推進しております。2020年度は、2020年4月1日に設立した西武アグリ株式会社による農業分野への参入に加え、使われない食材の有効活用を検討するなど、サステナビリティアクションの事業化を推進いたします。また、環境面の取り組みとして、環境負荷削減目標(2030年度には営業収益当たりCO2排出量2018年度比25%削減)を設定するとともに、それに向かうための社内体制を構築いたしました。この社内体制によりPDCAを循環させることで、CO2排出量削減を含むサステナビリティアクションを持続的・積極的かつ体系的に進めてまいります。 ⅳ 資本コストを意識した投資 この先、高輪・品川エリア、芝公園エリア、新宿エリアなど都内エリアの大規模開発や所沢エリアの開発など、複数の長期にわたる設備投資プロジェクトを想定しております。それらプロジェクトの推進に当たっては、グループの収支バランスや財務体質に配慮しながら計画的に推進することが必要だと考えております。WACC(加重平均資本コスト)を適切に把握するとともに、事業ごとのリスクや将来の資金需要などを総合的に勘案した事業別のハードルレートを定め、運用していくことにより、投資のPDCAサイクルを高度化してまいります。 ⅴ グループ内外との連携 デジタル技術の発達に端を発する社会の変化のなかで、当社グループとしましても、その価値観の変化を捉えビジネスモデルを構築していくため、グループ内外と積極的に連携を図っております。
グループ内部においては、上記の通り、2020年度より報告セグメント変更を実施しており、変更後の報告セグメントにより一層の連携を図ります。
また、MaaS(新モビリティサービス)や自動運転技術、5Gといった新技術活用やキャッシュレスサービス展開に向けた外部データ連携など各取り組みを推進するため、グループ内のみならず、外部パートナーとの連携を通じて、顧客のニーズをとらえていくとともに、人材やビジネスノウハウ等の経営資源を獲得してまいります。

④この事態収束後の人々の価値観の変化を見据えた構造改革

近年、デジタル技術の発達に端を発した社会の変化や世界的な「持続可能な開発」への機運の高まりなどにより、人々の価値観に変化が生じておりますが、新型コロナウイルス感染症流行の事態収束後には、リモートワークの浸透や大規模イベントのあり方など、人々の行動・価値観にさらなる変容の可能性があると考えております。当社グループとしましては、こういった価値変容を先取りし、この事態収束後の社会を見据えた構造改革を検討することで、これまでもこれからも、「最良、最強の生活応援企業グループ」を目指してまいります。

  

当社グループは、今後も企業価値・株主価値の極大化に向けて企業運営をおこなってまいります。