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対処すべき課題

当社グループは、「西武グループ長期戦略」に基づき、様々な事業・サービスを組み合わせて提供できる領域・付加価値を拡大し、あらゆる場面でお客さまの生活を応援していく企業グループとなることで、持続的かつ力強い成長を目指しております。

このような中、当社グループは、2021年5月13日に「「アフターコロナの社会における目指す姿」を見据え、コロナショックを乗り越え、飛躍への道筋をつける。」をテーマに、「経営改革」「デジタル経営」「サステナビリティ」の3点を骨子とし、「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」(以下、「中期経営計画」)を策定いたしました。

計画のテーマ・取り組み

中期経営計画では、当社グループの「アフターコロナの社会における目指す姿」を「最良、最強の生活応援企業グループ」とし、その実現に向けて取り組んでいく3ヵ年としております。コロナ禍で進んだ価値変容、行動変容はアフターコロナの社会に定着するとの想定から、それに対応しビジネスモデルを変革することに加え、コロナショックのような危機は今後も繰り返し起こるものと想定し、いかなる事業環境下においても、企業価値、株主価値の極大化を果たしていけるように企業体質を強化してまいりました。

Topic1経営改革

コロナ禍で浮き彫りになった経営課題にまっすぐ挑み、以下のとおり、「アセットライトな事業運営」「損益分岐点の引き下げ」「ニューノーマルに合わせたサービス変革」という3つのテーマに対し、聖域なく「経営改革」を断行してまいりました。

テーマ①アセットライトな事業運営

繰り返し起こると想定される危機に対してより強固な体質を構築すべく、アセットの「保有」と「運営」の一体構造から、「アセットライト」をテーマにビジネスモデルを変革すべく、下記の方針に基づき、すべての資産・事業の内容について保有メリットや開発の余地、また、売却・流動化によるキャッシュ創出規模などを総合的に勘案し、峻別を進めてまいりました。

2023年度においては、これまで進めてきた「アセットライトな事業運営」をさらに進め、私募ファンド、私募REITをはじめ、当社グループにおける有効な不動産回転型ビジネスの検討を進めてまいります。

テーマ②損益分岐点の引き下げ

足元の経済状況において、ウクライナ情勢に端を発する原油高の影響などにより、固定費は増加傾向にありますが、2022年度までの取り組みとして、都市交通・沿線事業におけるダイヤ改正やホテル・レジャー事業における要員コントロールなどにより、恒常的な固定費低減に取り組んでまいりました。また、「バックオフィス業務の共通化」を企図し、柔軟な働き方、及び専門性の高い人財により最適なシェアード・サービスを提供する「株式会社西武プロセスイノベーション」を2022年12月1日付で設立し、2023年6月1日の運営開始に向けて準備を進めてまいりました。

テーマ③ニューノーマルに合わせたサービス変革

2022年度までに「プリンスグランドリゾート軽井沢」を国内を代表する「ワーケーションリゾート」としての地位確立を目指すエリアと位置づけ、東日本旅客鉄道株式会社などと連携し、施設やサービス、商品の充足をおこないました。さらに、株式会社ステップアウトが、アウトドア事業領域の拡大に向けバーベキュー事業の開始やキャンプ場のオープンに向けた取り組みを進めてまいりました。引き続き、新たな時代において、西武グループのサービスをご利用いただくお客さまを広げ、満足いただくことで、多様なサービスを繰り返しご利用いただく「西武グループのファン」を増やしてまいります。

都市交通・沿線事業の経営改革

都市交通・沿線事業においても西武鉄道株式会社の定期収入はリモートワークの定着などにより需要減少が継続しており、人々の行動変容・価値変容が進むことによって、「移動」頻度も大きく見直されることとなり、定期収入がコロナ前の状態まで完全に回復する可能性が低くなっております。こうしたことから、上記の取り組みに加え、2022年度については、都市交通・沿線事業の損益構造をさらに見直すべく、「組織・運営体制の見直し」「売上高向上」「固定費の低減」を柱に、「都市交通・沿線事業の経営改革」を進めてまいりました。

<組織・運営体制の見直し>
西武鉄道株式会社は、中核事業である鉄道業、ならびに沿線価値創造機能に特化することで、より専門性を高め、収益改善に注力することが必要であると判断し、下記のとおり、組織・運営体制を構築いたしました。

Topic2デジタル経営

2022年度においては、当社に「DX・マーケティング戦略部」を設立し、スピード感を持ってデジタル経営を推進してまいりました。
攻めと守りの双方の視点からデジタル経営を実現すべく、グループ会員組織の「SEIBU PRINCE CLUB」を中心にグループ内外のデータをつなぎ利活用できる「グループマーケティング基盤」を構築し、その利活用により、前述のニューノーマルに合わせたサービス変革、さらには「西武グループのファン」獲得につなげてまいります。
また、管理系基幹システムのグループ共通システム化などを進め、業務改革、働き方改革を実現し、固定費削減につなげます。

Topic3サステナビリティ

安全、環境、社会、会社文化の4領域12項目のアジェンダにおいて持続可能な社会実現のため「サステナビリティアクション」に取り組んでまいりました。中でも、環境への取り組みは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同や、西武アグリ株式会社などにより西武グループ初となるソーラーシェアリングを開始するなど、気候変動が進む中でリスク・ビジネス機会双方の影響を適切に認識し、積極的に対応していく「グリーン経営」の実現に努めてまいりました。
2022年度は、環境領域において、2022年4月1日より、株式会社西武リアルティソリューションズが管理をおこなう大規模オフィスビル「ダイヤゲート池袋」で使用する電気の全てを、西武グループが運営する「西武武山ソーラーパワーステーション」による発電(環境価値が付いた電力)で賄い、実質CO₂排出ゼロでの運営を実現いたしました。また、軽井沢・プリンスショッピングプラザにおいてオンサイトPPAによる太陽光発電を導入し、2023年3月より稼働を開始しております。引き続き、気候変動への対応について、スピード感を持った対応が求められることから、より一層の削減を着実に進めるため、CO₂排出量削減目標について、変更・新設(長期目標:2050年度ネットゼロ 中期目標:2030年度までに2018年度比46%削減 短期目標:毎年度前年度比5%削減)いたしました。

<今後に向けて>
上記で述べた、中期経営計画の取り組みを踏まえ、当社グループにおける各社の役割を明確にし、アフターコロナにおいて企業価値・株主価値の最大化を果たす体制を構築いたしました。
構築した組織体制に合わせ、経営改革による主力事業の専門性強化と連動した西武グループ人財戦略の基本コンセプトを策定いたしました。「人財の見える化」「従業員満足度(ES)向上」「マネジメント強化」「人財の創出・精鋭化」「多様性推進」「経営人財育成」の6つの戦略テーマに沿った各施策を推進することで、エンゲージメント向上、人財創出・確保を実現し、「プロフェッショナル集団」を目指してまいります。

重視する経営指標

「アフターコロナの社会における目指す姿」に向けて、「アセットライト」を意識し、下記4つの資本効率や最適資本構成を示す経営指標について「中長期的に目指す水準」を2021年5月の中期経営計画策定時に設定いたしました。
・ROE             10%以上
・ROA             3.5%以上
・自己資本比率         25~30%
・ネット有利子負債/EBITDA倍率 6倍台
今後、これらの重視する経営指標の水準に近づくよう努めてまいります。

当社グループは、これまでもこれからも「でかける人を、ほほえむ人へ。」を変わらぬスローガンとして掲げ、お客さま、地域社会とともに成長していく企業として、お客さまの行動と感動を創造し、豊かで持続可能な社会を実現してまいります。また、お客さま、地域社会、地球環境にとって「最良」であり、それを支えるために揺るがぬ安全・安心を守り抜き「最強」であることを目指し、BHAG(Big Hairy Audacious Goals)をキーワードにイノベーションに挑戦し続け、企業価値・株主価値の極大化に向けて企業運営をおこなってまいります。